
📘 カバラとタロット(全4回)
この連載では、タロットとカバラの関係を、思想の流れと象徴体系の観点からやさしく紐解いていきます。
セフィロトの樹や神秘思想とのつながりを、落ち着いたペースで学べる内容になっています。
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いよいよ【カバラとタロット】シリーズもラストとなりました。
ここまで一緒にたどってきた“大アルカナの物語”が、どのように形づけられたのか――
今回はその背景を、やさしく紐解いていきます。

『大アルカナの物語』の流れが気になる方は、
前回までの記事もあわせて読んでみてね↓

今回は、“大アルカナの物語”がどのような経緯で生まれ、どのように受け継がれてきたのかを、わかりやすく紹介していきます。

ここまで読んでみて、大アルカナに込められた“意識の成長”というテーマが、少しずつ見えてきたよ!
シリーズの最終回となる今回は、
タロットの物語はどのように形づくられ、どんな歴史を経て“意識の旅”として読まれるようになったのか――
この視点を軸に、タロットの深い背景へと進んでいきましょう。
※本記事でいう「意識」とは、「魂」のことです。魂の成長や内的進化を指しています。

…ところで、タロットって、最初から“意識の成長物語”を意図して作られたものなの?

じつは、この質問にはとても興味深い答えがあるんです。
歴史的に見ると、タロットは最初から“意識の旅”として作られたわけではないというのが有力な見解なんです。

この記事では、以下のことがわかります!
- 大アルカナは最初から“意識の旅”として作られたわけではないこと
- タロットがどのように神秘思想(カバラ・数秘術・占星術)と結びついていったか
- 19世紀以降の神秘家たちが、タロットをどのように再解釈してきたか
タロットは“遊びのカード”として生まれた


15世紀のイタリア(ミラノやフェラーラ)で作られた初期のタロット――
とくに『ヴィスコンティ=スフォルツァ版』のようなカードは、
王侯貴族が楽しむための“トランプ型の遊戯カード”だったと言われています。
当時の“大アルカナ”にあたる絵札は、
“特別な切り札”としてゲームの中で使われていました。

今みたいな“神秘的なカード”じゃなくて、
当時は“勝利カード(トランプの切り札)”だったんだよ!
大アルカナは寓意画として描かれていましたが、宗教や道徳の教訓的イメージはあっても、
“意識の旅”や“精神的成長のストーリー”として作られたわけではなかった
というのは、歴史を見ても明らかです。

こんなに深い意味があるのに…
はじめは“遊び”からだったなんて、ちょっと意外だね!
神秘思想との出会いが、タロットを“物語”へと変えた


いろんなカードに“意識の成長ストーリー”を感じるけれど、
こういう読み解きが生まれたのはもっと後の時代なんだね。
15〜16世紀のタロットが“遊戯用カード”として誕生したあと、
大きな転機が訪れたのは18〜19世紀のフランスでした。
エッテイヤやエリファス・レヴィといった神秘主義者たちが、
タロットに“カバラ・数秘術・占星術”などの象徴体系を少しずつ重ねて読み解き始めました。

この動きが、やがてタロットを
“精神世界の象徴”へと変えていく流れの始まりだったんだよ!
♦タロット×神秘思想のざっくり年表
| 年代 | 流れ |
| 15世紀 | イタリアで貴族の遊戯カードとして誕生 (大アルカナ=切り札) |
| 18世紀末〜19世紀 | エッテイヤ、エリファス・レヴィなどが再解釈を推進 |
| 19世紀末 | 黄金の夜明け団(※)が象徴体系を体系化 → 1909年にライダー=ウェイト版誕生 |
| 20世紀以降 | 心理学(ユング)との接続。 “意識の旅”的読解が一般化 |
※『黄金の夜明け団』とは、19〜20世紀にイギリスで活動した神秘思想のグループ。
タロットやカバラを“象徴の地図”として整理し、現代のタロット解釈に大きな影響を残しました。

とくに、19世紀末の黄金の夜明け団(Golden Dawn)は大きな影響を残しました。
彼らはタロットを“秘教的象徴体系”として精緻に再構築し、
そこから生まれたのが、現在もっとも親しまれている
“ライダー=ウェイト版”(1909年)なんです。
このように、タロットは最初から“意識の旅”として作られたわけではありません。
しかし、後の時代の思想家たちがタロットに深い象徴性を見いだし、
“人間の意識や成長を映す鏡”として再発見していったのです。

タロットの中には、人間の無意識に宿る普遍的な物語が、
自然と息づいていたのかもしれないね。
だからこそ、時代を越えてボクたちの心に響くのかも。

ただのゲームのカードなのに、
“意図して作ったような物語の流れ”があるなんて…
ホントに不思議だよね!

“偶然”のはずなのに、どこか“必然”のように見えてくる。
カード1枚1枚に込められた象徴を追っていくと、
まるで深層意識や宇宙の構造そのものが
知らず知らずのうちに刻まれたかのように感じられますよね。
※ タロットが歩んできた歴史をより詳しく知りたい方は、【タロットの歴史シリーズ①~⑤】もおすすめです。
心理学から見た“タロットの深層”


心理学者のカール・ユングは、
こうした“普遍的な象徴の一致”を“集合的無意識”と呼びました。
☑ 集合的無意識とは…?
個人を超えた普遍的なイメージや物語(元型=アーキタイプ)が、
人間の深層意識に共通して存在している、という考え方。
例:タロットに宿るアーキタイプ
- 愚者…旅の始まり、無垢な冒険心
- 皇帝…権力、秩序、父性
- 死神…終わりと再生
- 星…希望、癒し

どのカードにも、
“国や時代を超えて共通するテーマ”が表れているんだね!
※大アルカナ22枚それぞれの“意識の旅”については、【カバラとタロット②】、【カバラとタロット③】で詳しく解説しています。
タロットは“無意識が紡いだ詩”だった?

タロットを生み出した初期の作者たちは、
“意識の旅”を描こうとしていたわけではありません。
それでも、彼らが生きた時代の文化や信仰、
そして人間として共有している“深層心理のイメージ”が静かに滲み出た結果、
現代の私たちから見ると、「まるで一貫した意識の成長物語のようだ」と感じられてしまう──
そんな不思議な現象が起きています。

作者たちが意図しなくても、
時代や文化を超えて“心の深層”に共通する象徴が、
自然とカードの中に表れたのかもしれませんね。

そう考えると…タロットそのものが、
無意識の深みから湧き上がった“神秘的な詩”のようにも思えてくるね!

うん!“当たる・当たらない” だけじゃなくて、
自分の心を映し出す鏡として、
タロットを読みたくなってきたよ。
――タロットは“最初は遊び”、でも“今は心の鏡”。
その両方が、たしかな真実なのです。
※ タロットの象徴を『意識の地図』として見る方法については、【セフィロトの樹⑤】で詳しく紹介しています。
まとめ:偶然が重なり、必然へと形づくられた物語


タロットは、もともと遊戯用のカードとして誕生しました。
けれど時代が移るなかで、多くの思想家たちがそこに象徴的な意味を見いだし、“人間の意識の成長物語”として再解釈していったのです。
22枚の大アルカナは今もなお、私たちの胸に深く響き続けています。
まるでカードの中に、
“人間の無意識に共通する神話”が自然に刻まれていたかのように──。
それは、集合的無意識の働きかもしれませんし、
あるいは初期の作者たちが気づかぬまま、
人間の意識が共有する“原型(アーキタイプ)”を描き出していたのかもしれません。

タロットが意図して生まれたのか、
それとも“無意識が語らせた”のか──
その答えをひとつに決めなくてもいいのかもしれないね。

うん。いま、ボクたちがカードの物語に心を動かされていること──
それこそが一番の“真実”なんだと思う…。
タロットの歴史を振り返ると、そこには偶然や意図を超えた
“人の想い”の積み重ねが見えてきます。
そして“意識の旅”という読み方が生まれたのは──
人が自分自身と向き合い、理解しようとした
“心の探求”があったからこそ。

タロットは、偶然から生まれた遊戯でありながら、
人類の意識が育んできた象徴の詩でもあるんだね。
意図や宗教を超えて、そこにはいつも“自分を理解しようとする静かな力”が息づいています。
だからこそ、今もなお、
私たちはカードの中に“心の真実”を見つけるのかもしれません──。
※タロットに宿る象徴を深く静かに見つめていくと、 その先には“セフィロトの樹”という、意識の地図がそっと姿をあらわします。 この不思議な世界については、『セフィロトの樹シリーズ』で詳しく解説しています。
よろしければ、そちらもあわせてご覧ください → 【セフィロトの樹シリーズ】。

『カバラとタロット』シリーズを最後まで読んでいただき、
本当にありがとうございました。
長い旅路、お疲れさまでした。
※ このシリーズの全体像は、
▶ 「カバラとタロットシリーズ一覧」からご覧いただけます。


