
📘 タロットの歴史(全5回)
この連載では、タロットカードがどのように生まれ、どのように“今の姿”へ形づくられてきたのかを、静かなペースでたどります。
文化や思想の流れとともに、タロットの背景をやさしく解説しています。
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タロットカードといえば“占い”のイメージが強いですが、
じつはそのルーツが中世ヨーロッパの“カードゲーム”にあるって、知っていましたか?
じつは、タロットカードは“占い”よりもずっと前に、
遊びのカードとして誕生していたのです。
「えっ、ゲームだったの!?」「どんな遊びだったの?」
そんな疑問にお応えしつつ、
今回は“タロットの意外な起源”について紐解いていきます。

タロットの意外なルーツについて、早く知りたいな♪
※タロットの誕生の背景については【タロットの歴史①】で紹介しています。

この記事では、以下のことがわかります!
- タロットカードの元は“貴族のゲーム”だった事実
- 中世ヨーロッパのカード遊び『タロッキ(トリオンフィ)』とは?
- 占いに使われる前のカードのデザイン・構成
タロットの始まりは“遊び”だった!


タロットってゲームだったの!?

…じつはその通りなんです。
タロットカードの起源は、
14〜15世紀のヨーロッパにさかのぼります。
最も古い記録のひとつが、
15世紀のイタリア・ミラノで制作された
『ヴィスコンティ=スフォルツァ版』というタロットカードです。

これは現存する中でも特に古いタロットの一つで、
当時の貴族たちが実際に使用していたもの。
占いの道具ではなく、トランプのように遊ぶゲーム用カードとして用いられていたんだよ♪
このゲームは『タロッキ』と呼ばれ、点数を競う“トリックテイキング”タイプのゲームが主流でした。
どんなゲームだったの?


この時代に遊ばれていたのは、『トリオンフィ(Trionfi)』というゲーム。
現代でいう『ハーツ』や『ブリッジ』などに似た、トリックテイキングゲーム(※)の一種です。
トリックテイキングとは?
※トリックテイキングゲーム:
プレイヤーが順番にカードを出し、最も強いカードを出した人が
その“トリック(1回分の勝負)”を取る遊び方。
♦共通ルールの一例
| 構成 | ルール |
| プレイ人数 | 2人〜4人ほど |
| デッキ構成 | ・4つのスート (ワンド・カップ・ソード・ペンタクル) ・各スートに1~10とコートカード (キング・クイーン・ナイト・ペイジ) ・22枚の“トランプ(切り札)”=現在の“大アルカナ”にあたる |
| ゲームの目的 | 得点カードを多く集めること |
| 切り札の役割 | 通常のスート札よりも強力で、 プレイを有利に進められる |
※一部のゲームでは、キング=5点、クイーン=4点、ナイト=3点、ペイジ=2点などのように、カードごとに点数が設定されていました。

ちなみに、このトリックテイキング形式のタロットゲームは、
現代でもフランスなどで『Tarot(タロー)』として楽しまれているんだよ!
“ヴィスコンティ版”が特別な理由


このデッキが特別視されている理由には、
以下のようなポイントがあります!
- 手描きの豪華仕様: 金箔・銀箔が施された職人技の芸術品!
- 貴族のシンボル入り: ヴィスコンティ家・スフォルツァ家の家紋や象徴が描かれている
- 現存カードは一部: 全78枚中、約70枚ほどが世界各地に分散して保存されている

わぁ!すごく豪華なカードだったんだね!

この頃のカードには、
すでに大アルカナ・小アルカナの構成が存在していたんだよ!
カードに“意味”はあったの?


ゲームの時代にも、
占いのような“カードの意味”ってあったのかな?

結論から言うと、
現代のような占い的解釈はまだ存在していませんでした。
♦当時の特徴
- カードはゲーム用に作られていた
- 図像は主に装飾や宗教・道徳的寓意(※)の意味合い
- ただし、全く意味がなかったわけではない!
※道徳的寓意とは、道徳的な教訓や教えを伝えるために、具体的な物語や比喩、シンボルなどを用いて表現する手法のこと。
宗教と寓意が込められたデザイン
例えば…
- 「死神」=命の有限さを思い出す象徴
- 「塔」=人間の傲慢や過信に対する戒め
- 「星・月・太陽」=自然と宇宙の秩序を表すイメージ

当時のカードには、
宗教的な場面や道徳的な寓意(たとえば「死を思うことの大切さ」など)が描かれており、人々にとって“人生を見つめるための象徴”でもありました。

このように、シンボル的なイメージは共有されていたものの、
それを用いて未来を占うという発想はまだ生まれていなかったんだよ!

この時代、カードの個別の意味を
“象徴的に解釈する”という文化は未発達で、
あくまで絵柄は“美しい装飾”や“寓意的なモチーフ”として捉えられていたんだね!
――ヴィスコンティ=スフォルツァ版のようなタロットカードは、
貴族たちが楽しむトリックテイキングゲームのために作られていたのです。
♦豆知識:ヴィスコンティ=スフォルツァ版の特徴
- 一部のカード(例:塔・悪魔など)は、現存しない or そもそも存在していなかった可能性あり
- 絵柄は象徴的というより写実的。
人物の衣装や表情、背景が丁寧に描かれている - とはいえ、寓意や宗教的シンボルはしっかり込められており、当時の価値観が反映されているのが魅力!

あなたがもし貴族だったら、どんな絵柄をカードに選ぶ??
当時のタロット構成を見てみよう

- 大アルカナ(22枚):象徴的な図像を持つカード(例:「愚者」「魔術師」「女教皇」など)
- 小アルカナ(56枚):現在のトランプに似た構成。4スート×14枚(1〜10 + コートカード)

現在の『ライダー・ウェイト版』や『マルセイユ版』なども、
この構成を基本にデザインされているんですよ。

なるほどね!
…この頃のタロットカードは占いとは何も関係はなかったんだよね?!

この時点では占いとは無関係でした。
タロットカードが占いに使われ始めたのは、
かなり後の18世紀後半のフランスあたりからとされています。
タロットが“占い”に変わる瞬間

タロットが“占いの道具”として使われ始めたのは、
18世紀後半のフランスが起点とされています。
当時、人間の意識や宇宙の法則を探求する思想家たちが現れ、
タロットを“心を映す象徴体系”として見直す動きが始まりました。

その中でも、エッテイヤとエリファス・レヴィは重要な役割を果たしたんだよ!
エッテイヤとレヴィが与えた意味
♦進化の流れ
【エッテイヤ】 タロットを“未来を占う道具”として体系化
- 各カードに意味を設定(恋愛・金運・健康など)
- 占い専用の『エッテイヤ版タロット』を制作
【エリファス・レヴィ】 タロットを“神秘の書”として再定義
- カバラ(セフィロトの樹)・占星術との対応関係を提示
(※カバラについては、【カバラとタロット①】で紹介しています)

このようにして、タロットはやがて、
哲学や象徴の世界観と結びつき、人の心を映す占いの道具へと姿を変えていきました。
まとめ:遊びから“心の鏡”へ


“占いの道具”として広く知られるタロットカードだけど、
そのルーツが“遊びのカードゲーム”だったなんて、意外だよね!?
♦15世紀(1400年代):貴族の遊びカード時代
- 【場所】イタリア(ミラノ、フェラーラ、ボローニャなど)
- 【用途】上流階級の娯楽(トリオンフィ=トリックテイキングゲーム)
- 【内容】4スート + 22枚の切り札(=大アルカナ)
- 【代表例】ヴィスコンティ=スフォルツァ版(1450年頃)
- 【特徴】装飾や寓意はあったが、占い要素はなし
♦18世紀(1700年代後半)~:神秘思想と融合し、占いツールへ
- 【主な人物】エッテイヤ、エリファス・レヴィ
- 【進化内容】カードに意味を与え、占星術・カバラと統合
- 【結果】「タロットは占いに使える!」という文化が定着

タロットカードって、当時の人々にとっても何故か心魅かれる不思議ものだったんだろうね!
タロットは、もともと人々が遊びを楽しむためのカードでした。
けれど、そこに描かれた象徴や物語が、
少しずつ“人の心を映し出すもの”として親しまれていったのです。

タロットの世界は、時代とともに少しずつ形を変えてきました。
次回は、タロットがどのように“占い”として広がっていったのかを見ていきましょう♪
※ このシリーズの全体像は、
▶ 「タロットの歴史シリーズ一覧」からご覧いただけます。


